日本助産学会誌
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原著
育児支援プログラム「HUG Your Baby」の有用性 – 産後のアンケートとインタビューを通して–
柏原 由梨恵新福 洋子堀内 成子
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2020 年 34 巻 1 号 p. 14-24

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抄録

目 的

本研究は,妊娠期に新生児の行動を教えるHUG Your Babyを受講した母親への質問紙とインタビューによってプログラムの有用性を評価することを目的とした。

対象と方法

本研究は質問紙調査とインタビュー調査を統合するプログラム評価研究である。質問紙データの記述統計量を算出し,産後1か月と産後3か月の教材使用回数の差を分析した。インタビューは生後2~7か月に半構成的面接を行い,Bowen et al.の介入研究の評価方法を参考に,需要,実用性の内容分析を行った。聖路加国際大学の研究倫理審査委員会(承認番号:16-A052)の承認を受けて実施した。

結 果

質問紙調査は産後1か月と産後3か月の両方に回答した82名を対象とした。以下のすべての教材で産後3か月の使用回数が有意に高かった:新生児の行動のDVD(p<0.001),新生児の行動のリーフレット(p<0.001),母乳育児の道のりのリーフレット(p<0.001),おくるみ(p=0.001)。教材のわかりやすさを比較し有意差が認められたのは新生児の行動のDVD(p=0.032)と母乳育児の道のりのリーフレット(p=0.009)であった。

インタビューによる需要の評価では,多くの母親が育児は大変というイメージをもっていたことから,タイトルにポジティブなメッセージを感じ,育児を楽にしたいという気持ちを抱いていた。実用性の評価では,育児のコツを取得することで児の泣きへの対応,授乳や寝かしつけができたこと,育児体験談に助けられたこと,教材で家族と情報共有ができたことが語られた。

結 論

HUG Your Babyは母親たちの需要に即し,新生児の行動を理解し対応すること,家族の育児サポートを得る側面からも教材の実用性は高く,その教材は育児期を通して繰り返し使用されることでわかりやすさが増し,プログラムの有用性が示された。

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