日本助産学会誌
Online ISSN : 1882-4307
Print ISSN : 0917-6357
ISSN-L : 0917-6357
原著
ジェネラティヴィティの母娘世代間伝達と女子大学生のヘルスリテラシーおよび健康との関連のパス分析
菱谷 純子岡山 久代
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 36 巻 1 号 p. 80-92

詳細
抄録

目 的

非医療系及び看護系女子学生を対象に,次世代を生み出し育てる関心であるジェネラティヴィティの母娘世代間伝達とヘルスリテラシー及び健康との関連を明らかにする。

方 法

質問紙法による記述的横断的研究。対象者: 便宜的なサンプリングで選択された日本の7つの大学の非医療系学生(n=586)と看護学生(n=561)並びにその母親。測定用具: 母親のジェネラティヴィティは多面的世代性尺度,女子大学生のジェネラティヴィティは青年期の次世代育成力尺度,ヘルスリテラシーは性成熟期女性のヘルスリテラシー尺度,健康はShort Form 8で測定した。

結 果

女子大学生とその母親153組(有効回答率,13%)の回答を得た。非医療系52%(80/153),看護系48%(73/153)。学生の年齢18-29歳,母親の年齢39-62歳。多母集団同時分析の結果,非医療系と看護系共に,母親の「次世代育成への関心」は,女子大学生の「知恵の伝承」を高め「月経セルフケア」「女性の体の知識」「情報の選択と実践」を高める有意なパスが示された。さらに,非医療系学生に限り,「月経セルフケア」から「精神的健康」を低めるパスが示された(β=−.35,p<.05,R2=.21)。

結 論

母親の次世代育成への関心が高いほど,女子大学生が受けとる知恵が増加し,性成熟期女性の健康に関するヘルスリテラシーを高めることが確認された。また,非医療系学生に限り,月経セルフケアを実施しているほど精神的健康が低いことが確認された。

著者関連情報
© 2022 日本助産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top