日本助産学会誌
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総説
妊娠前(プレコンセプション)の女性における健康行動の変容に関するスコーピングレビュー
鈴木 瞳庄木 里奈荒田 尚子大田 えりか
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2022 年 36 巻 2 号 p. 162-175

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抄録

目 的

本研究の目的は,国内外で行われている,妊娠前の女性におけるプレコンセプションケアに関する介入研究について,スコーピングレビューを行い,介入の効果とアウトカム指標を明らかにし,我が国におけるプレコンセプションケア分野の研究への示唆を得る事である。

対象と方法

研究領域の基盤となる主要な概念やエビデンスを概説することを目的とする手法であるスコーピングレビューを実施した。文献データベースとして,PubMed, Cochrane Library/ CENTRAL, EMBASE, 医学中央雑誌WEB版(医中誌)を用い,2020年10月に検索を行った。

結 果

本研究の結果から,海外における研究が38件,国内における研究3件が検索された。介入/プログラムの効果の範囲として,国外における研究では,①栄養・食事に関して,②妊孕性・健康に関する知識,③避妊方法,④身体活動,⑤BMI・血液検査等の身体・生理学的指標,⑥アルコール・タバコ暴露妊娠予防,⑦葉酸の補給,⑧精神・心理的変化,⑨妊娠・出産,出生児のアウトカム,⑩その他の10領域,国内における研究では,①健康・プレコンセプションケアに関する知識,②プレコンセプションケアに関わる意識,③栄養・食事に関して,④その他の4領域が分類された。

結 論

本研究により,国外・国内のプレコンセプションケア分野の研究における,介入/プログラムの効果の範囲と調査研究の評価指標の範囲が分類された。本邦においては,未だプレコンセプションケアに関する研究はプレコンセプションケアに関する知識・意識,栄養に関する領域に限られており,特にプレコンセプションにおける葉酸の補給,身体活動,アルコール・タバコ暴露妊娠予防,精神・心理的変化,身体・生理学的指標,妊娠・出生児のアウトカムに関する研究が不足していることが示唆された。

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© 2022 日本助産学会
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