日本助産学会誌
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COVID-19禍で公表された助産に関連する研究の文献レビュー
礒山 あけみ中山 香映菱沼 由梨巌 千晶渋谷 えみ
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2022 年 36 巻 2 号 p. 258-269

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抄録

目 的

国内外でCOVID-19禍に公表された助産に関連する先行研究をレビューし,その動向と既得の知見を把握する。

方 法

2021年6月に医中誌Web,PubMedで「COVID-19」,「助産」,「midwifery」をキーワードとする96文献(日本語6件,英語90件)を分析対象とした。研究テーマ,研究実施国,研究デザイン,研究対象,データ収集方法,分析データの種類,倫理的配慮に関する情報を抽出し分類した。

結 果

研究テーマは【医療者のマタニティケアの提供】(30件),【妊産褥婦・家族のマタニティケアの利用】(24件),【感染管理】(17件),【医療従事者のメンタルヘルス】(16件),実施国はトルコ11件,イギリス10件,日本・オーストラリア各9件が続いた。研究デザインは横断研究71件,文献9件,コホート研究6件,症例報告4件,研究対象は医療職者または医療系学生64件,妊産褥婦・新生児・家族等非医療職者37件,学術論文・医療記録・行政資料等13件であった。データ収集方法は非接触または非対面58件,資料入手14件,分析データの種類は量的データ62件,質的データ25件,既存資料16件,倫理的配慮は,記載有り76件,記載無し18件だった。

結 論

COVID-19禍の研究テーマは【医療者のマタニティケアの提供】,【妊産褥婦・家族のマタニティケアの利用】,【感染管理】に集中した(74.0%)。医療職者または医療系学生が対象の研究が他の対象研究の1.7倍であり,医療者自身の感染対策につながる研究が優先されたと推察できる。妊産褥婦・家族など,ケアの受け手対象の研究の難しさが懸念された中,リモート/電話面接,Web/メール調査,郵送法(60.4%),既存資料(16件)といった非対面・非接触によりデータ収集した横断研究が多かった。パンデミック禍に研究活動を維持・発展させていくため具体的方策を見出すことができた。

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© 2022 日本助産学会
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