日本助産学会誌
Online ISSN : 1882-4307
Print ISSN : 0917-6357
ISSN-L : 0917-6357
原著
中期中絶ケアにおける助産師の感情尺度の開発と信頼性・妥当性の検討
斎藤 未希大月 恵理子
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 36 巻 2 号 p. 247-257

詳細
抄録

目 的

中期中絶ケアにおける助産師の感情を測定するための「中期中絶ケアにおける助産師の感情尺度」を開発し,信頼性・妥当性を検討する。

対象と方法

中絶ケアにおける看護職の感情を明らかにした文献および先行研究から尺度原案を作成し,内容妥当性・表面妥当性を検討し尺度案とした。首都圏の分娩を取り扱う医療機関300施設に協力を依頼し,同意の得られた施設に勤務する助産師に対し,511部の研究協力依頼文書を配布しオンライン調査を行った。項目分析,探索的因子分析を行い,信頼性・妥当性を検討した。分析にはSPSS Ver.28を使用した。

結 果

有効回答240部を分析対象とした。分析の結果,6下位尺度25項目からなる尺度が完成した。第I因子【ケアへの肯定的認識】,第II因子【児に対する陰性感情】,第III因子【女性に対する怒り】,第IV因子【ケアへの否定的認識】,第V因子【ケア技術への自己評価】,第VI因子【女性の周囲へのいらだち】とした。尺度全体のCronbach's αは.88,下位尺度のCronbach's αは.72~.83であった。尺度の総得点と日本語版SABAS(Stigmatizing attitudes, beliefs and actions scale)の総得点との相関係数は.41であった。既知グループ法を用い,中絶に対し否定的価値観を持つ群,肯定的価値観を持つ群に分類し尺度の総得点を比較したところ,否定的価値観を持つ群の方が有意に高かった。

結 論

中期中絶ケアにおける助産師の感情尺度を開発し,信頼性,構成概念妥当性が確保できた。本尺度は中期中絶ケアにおける感情の自己評価に活用でき,中期中絶ケアの質向上に寄与できると考える。

著者関連情報
© 2022 日本助産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top