2025 年 39 巻 1 号 p. 27-36
目 的
育児を行っている父親が妊娠期から育児期までどのような状況に困難を感じているかを明らかにすることを目的とした。
対象と方法
0~6歳の乳幼児の育児を行っている父親にグループ・インタビューを実施した。内容は質的記述的に分析し,コード,サブカテゴリー,カテゴリーを抽出した。
結 果
研究参加者は,乳幼児の育児を行う父親9名であった。妊娠期では【妊娠による身体的変化およびその対処が理解できない】中,【妻の妊娠に伴う生活の変化が負担となる】と感じ,【妻の変動する気持ちに対応しようと,自分の気持ちを抑えて過ごす】現状や【家庭を優先できない社会への不満がある】ことが明らかとなった。分娩期では,【無事に児が生まれてくるまで不安がある】や【妻が求める夫の役割にこたえようと模索する】,【妻の分娩に向け,家事と仕事の調整をする】状況があった。育児期では,【苦手な育児を行う】や【家事や育児を行うが裏目に出る】,【仕事と家庭の両立は負担もある】【生活が変化し,家族関係の変化への対応や気遣いが増える】状況があった。
結 論
現在,育児を行っている9名の父親は,妊娠期において妊娠による身体的変化や対処が理解できない中,妊娠に伴う生活の変化に負担を感じ,妻の変動する気持ちに対し,父親自身の気持ちを抑えて過ごしていた。分娩期,育児期に関しては先行研究と同様であり,分娩期では,児が生まれてくるまで不安や妻が求める役割に模索しており,戸惑いや無力感などを感じながら分娩に立ち会っていた。育児期は,生活や家族関係の変化に対応し,苦手な育児に向き合い,妻の感情を気遣うなどの状況があった。