日本助産学会誌
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メンタルケアを担う助産師への支援 グループスーパービジョンの実行可能性
相川 祐里芳川 玲子片岡 弥恵子
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2025 年 39 巻 1 号 p. 189-201

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抄録

目 的

本研究の目的は,周産期のメンタルケアを担う助産師を対象に,支援者への支援として心理師をスーパーバイザーとしたグループスーパービジョン(以下GSV)の実行可能性を,フィジビリティスタディにて質的に評価することである。

対象と方法

本研究のGSVでは,スーパーバイジーは,訪問看護ステーションに所属し,産前産後にメンタルヘルス不調をきたした女性に対し継続的な支援を行っている助産師とした。またスーパーバイザーの心理師は,医療領域で助産師と協働した経験のある心理師とした。GSVは,1回30分の事前顔合わせ会の後,1回90分のGSV計3回で構成した。実行可能性の評価は,本研究におけるGSVの目標の達成状況,受容性,実施可能性,実用性に関する半構造化インタビューを,インタビューガイドにそって助産師および心理師に実施した。研究者のGSV参加観察データも補助的に活用し,質的記述的に検討した。聖路加国際大学研究倫理審査の承認を得て実施した(23-A029)。

結 果

研究参加者は,スーパーバイジーの助産師が1施設から2名,スーパーバイザーの心理師は1名であった。助産師はGSVに参加し,①周産期メンタルケアに関する知識とスキルを理解し臨床で活かせ,②心理的安全感を得て困難感が軽減し,③グループの凝集性は増加し,GSVは適切であると評価した。受容性についても概ね良好で,開始前は馴染みのないスーパービジョンという構造に緊張を感じたものの,回数を重ねるにつれて抵抗感は軽減していた。実施可能性,実用性については,助産師ならびに心理師共に顔合わせ会,GSV3回全てに参加できた。心理師についても,同様の傾向が示された。

結 論

GSVは実行可能性が高く,周産期におけるメンタルケアを担う助産師への支援方法のひとつとなる可能性が示された。今後は対象数の拡大や,スーパーバイザーを担う心理師の質統一をどう図るかについて再検討する必要がある。

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