論文ID: JJAM-2024-0035
目 的
肥満妊婦や妊娠中の過度な体重増加に繋がる食行動を知ることは,妊娠中の体重管理に寄与できる可能性がある。本研究は,非妊時肥満体型の妊婦の食行動の特徴,および妊娠中に過度な体重増加をきたした妊婦の食行動の特徴を明らかにする。
対象と方法
正期産,単胎分娩後の褥婦238人に,過度な体重増加をきたす妊娠中の食行動質問票24項目(DBQ)に回答してもらった。DBQは【体重増加に対する認識のずれと後悔】【よく噛まず早く食べるくせ】【外食や中食における味の嗜好の偏り】【食べ物がなくなることへの心配】【目の前にある果物やお菓子を食べるくせ】【食事を残すことへの抵抗感】で構成される5段階尺度である。非妊時BMIは,やせ,普通,1度肥満,2度肥満の4群に,妊娠中の総体重増加量は,日本産婦人科学会が推奨する「体重増加量の目安」以上の体重増加を,推奨以上群,それ以外を推奨以下群の2群に区分した。分析は,DBQとの関連はStudent's t検定,一元配置分散分析ならびに多重比較を行った。
結 果
有効回答218部(99.0%)であった。1度肥満群と2度肥満群では,【体重増加に対する認識のずれと後悔】の得点がやせ群や普通群に比べ有意に高く(1度肥満群vs.やせ群,p < 0.01;2度肥満群vs.やせ群 p < 0.01),加えて2度肥満群では【よく噛まず早く食べるくせ】,【外食や中食における味の嗜好の偏り】,【食事を残すことへの抵抗感】が他の群に比べ有意に高かった(p < 0.01)。推奨以上群の食行動の特徴では,【体重増加に対する認識のずれと後悔】【食事を残すことへの抵抗感】の得点が有意に高かった(p < 0.0001;p < 0.001)。
結 論
肥満妊婦や過度な体重増加となる妊婦の食行動の特徴が明らかになった。特に,2度肥満の妊婦はよく噛まず早く食べるくせや外食での味の嗜好の偏りもみられた。以上より,妊娠中の食行動の特徴をアセスメントすることが,適切な体重増加の指導につながることが示唆された。