日本助産学会誌
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褥婦の不安変動
STAIを尺度とした不安水準の分娩1か月までの追跡
大賀 明子山口 由子皆川 恵美子藤田 八千代
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1996 年 10 巻 1 号 p. 46-55

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抄録

分娩後数日から1か月後までの褥婦の不安の程度と変動の実態を明らかにする目的で, 681名の褥婦に対し, 入院中, 退院1週後, 分娩1か月後の継続的な調査を行った。不安の測定尺度は, STAIを用いた。532名の褥婦から3回連続の調査協力が得られ, 有効回答数は528であった。
状態不安得点は, 入院中37.5点, 退院1週後39.5点, 分娩1か月後392点であり, 初産婦のほうが高かった。特性不安得点は, 入院中39.2点, 退院1週後39.3点, 分娩1か月後39.7点であった。褥婦の背景と不安得点は, 学歴や月経時, 悪阻時に自覚する症状, 分娩の認識において有意な関連があった。状態不安得点を高中低の3群に分け, 1か月までの変動を追跡した。入院中に中等度不安群だった褥婦も, 1週後に高不安群へ移行していれば1か月後に低不安群へ移行することは少なく, 1週後に低不安群に移行していれば1か月後に高不安群へ移行することはまれであった。

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