抄録
本研究は, 姿勢が骨産道の応形機能に及ぼす影響を明らかにすることを目的に, 妊婦131名を対象とし, 分娩時に重視される体位と構えを統一した8姿勢での大骨盤上部の骨盤外計測値を機能解剖学的に分析した準実験的研究である。
その結果,(1) 蹲踞位では寛骨の蝶番運動により骨盤出口部が広がる,(2) 椅坐位開脚では仙骨尖の後上方移動により坐骨棘間距離が増加する,(3) 四つ這い位では仙骨の下方移動と骨盤連結部の靭帯の緩みにより骨盤諸径が増加する, 以上3点が明らかになった。
したがって, 産婦が分娩経過に応じて姿勢を変えることは, 骨盤の応形機能により骨産道が広げられるため, 児頭の骨盤通過を容易にする効果があると考えられた。