日本助産学会誌
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姿勢の選択に関する産婦の身体的な自覚
村上 明美
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2001 年 15 巻 2 号 p. 22-29

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抄録

分娩の際に姿勢を自由にして過ごした産婦26名を対象に, 分娩1・2期に選択した姿勢に関して「そのとき何を感じていたのか」を産婦の主観的立場から明らかにするために, 分娩期のケアに参加しながら参加観察と産後の面接を行った。
内容分析の結果, 姿勢に関する産婦の身体的な自覚の要素として「痛みを逃す・痛みをつける」「力が抜ける・力が入りやすい」「赤ちゃんが降りてくる」「束の間の休養をとる」「安定感を得る」「窮屈から解放される」が確認された。産婦は姿勢を変化させると, それに伴って身体的な自覚も変化することに気づいていた。
産婦は姿勢を変えることにより, 自ら分娩進行を調整したり, 生まれてくる胎児の存在を確認したり, 分娩に対峙する自分の気持ちを切り換えたりしていると考えられた。産婦が姿勢を自由に選択することは, 産婦の主体性を高め, 満足な出産体験へとつながることが示唆された。

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