日本助産学会誌
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3歳になる第1子を気遣いながら4人家族を形成するプロセス
山崎 あけみ
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2003 年 17 巻 1 号 p. 35-46

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抄録

目的 親子3人の生殖家族に, 新しい成員である第2子誕生により生じるファミリーダイナミクスについて, 女性が表現したことを記述し, 4人家族の形成過程を探究することである。
対象と方法 本研究はField Researchの手法による帰納法的・質的因子探索型研究である。第1子月齢30か月から36か月までで, 第2子を迎えようとしている7人の女性に家庭訪問し, 半構成型インタビューを妊娠末期・産後2か月・産後6か月に実施した。1単位としての家族, 家族内部での相互作用, 家族外部との相互作用について, 家族生活の記述を試みた。
結果 「3歳になる第1子を気遣いながら4人家族を形成するプロセス」が話題の中心であった。妊娠末期には, もう4人家族ではあるが, 胎児より第1子を気がかりに思っていた。産後2か月には, 母子3人・夫婦間で, 機能的ではない家族内部の相互作用が表現された。しかし, 産後3か月ごろから, 第1子は兄・姉らしく, 男性はより父親らしくなり, 産後6か月には, 4人家族の生活が軌道にのった様子が表現された。1単位である4人家族は, 家族の外とも境界を通じて交流し, 女性が, 気兼ねをしなくてよい単位として日常を見つめられるようになって安定を迎えた。
結論 第2子の出産期の家族ケアを行うにあたって, 4人家族への再編成とは, 家族内部が関係し合いながら変化し, 家族外部とも交流しつつ, 1単位として安定を迎えるプロセスであるという示唆を得た。

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