日本助産学会誌
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母乳相談室での助産師のかかわり
断乳のケアに焦点を当てて
松永 佳子
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2004 年 18 巻 1 号 p. 19-28

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抄録

目的
本研究は母乳相談室において母乳哺育の最終段階であり, 母親にも子どもにも節目となる断乳の時期に注目して助産師が母親にどのようなかかわりをもっているのかについて, 明らかにすることを目的とする。
方法
質的記述的研究方法を選択した。都内総合病院の母乳相談室で断乳ケアを提供している助産師2名とそのケアを受けた母親3名を対象とし, 参加観察を延べ9回行った。それらの記述をテーマ単位で239単位に区分して内容分析を行った。
結果
助産師のかかわりは3つのカテゴリが得られた。『断乳することを肯定する』,『母親を一人にしない』,『子育ての振り返りにつきあう』の3つのサブカテゴリからなる第1のカテゴリは,「母親の思いの支持」であり, 42.3%であった。また,『母親から情報を得る』,『現状が正常であること保証する』,『母親の判断を肯定する』などの6つのサブカテゴリからなる第2のカテゴリは,「母親の心配事の緩和」であり, 52.9%, 2つのサブカテゴリ『待たせている母親の存在を認識する』,『タイミング良くケアを切り上げる』からなる第3のカテゴリは「来院している母親のすべてに目を向ける」であり, 4.8%であった。
結論
助産師のかわわりは母親にとってデューラ的存在となり, その結果, 母親自身が問題を解決するきっかけを作り出していた。抽出した3つのカテゴリに象徴されるように助産師のかかわりは, 断乳の時期において不可欠であり, 母乳相談室での断乳ケアの必要性が示唆された。

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