日本助産学会誌
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オレムの依存的ケアモデルを適用した母乳哺育継続制限要因の探究
葉久 真理大橋 一友
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2004 年 18 巻 1 号 p. 6-18

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抄録

目的
本研究の目的は, 母乳哺育の継続を制限する要因を看護理論家オレムの提唱する依存的ケアモデルを用いて分析し, 母親に必要とされる母乳哺育を継続するための能力を明らかにすることである。
方法
研究デザインは, 記述的研究である。方法は, 半構成的面接法を用いてデータを収集した。調査対象は, 産後1か月健診に来院した母親103名で, 児への哺育形態が母乳とミルクの混合栄養あるいはミルクのみの人工栄養であり, 母乳のみの哺育が継続できなかった母親である。
結果
母乳哺育継続を制限していた特徴的な要因には, 1) 経験からのあきらめ, 2) 想像上の児と現実の児の違いから生じた不適応, 3) 児への想いから生じる不適切な助言, という3つの制限要因があがってきた。これらの制限要因には, 関連性を認め, 想像上の児と現実の児の違いから生じた不適応は, 児との生活体験や母乳哺育体験の不足, 時間的・精神的余裕がもてない生活環境, 母親ならびに家族の母乳不足の判断と対応の未習得を伴っていた。
結論
以上の結果から, 母親に必要とされる依存的ケア能力は, 1) 経験をポジティブに活用する能力, 2) 児は泣くという現実認識と児の泣きへの適応能力, 3) サポート, アドバイスを選択して取り入れ, 母乳哺育を主張する能力である。

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