日本助産学会誌
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母性看護実習で学生が自覚するストレスの実態
竹ノ上 ケイ子内海 滉
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1993 年 7 巻 1 号 p. 31-43

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抄録

母性看護実習中のストレスと対処の実態を明らかにする目的で, 3年課程の看護短大生96名に質問紙による調査を行い, 以下の結果が得られた.
(1) 臨床場では, 統計的に有意 (T-検定) に実習前 (朝) のほうが終了後 (夕) よりもストレスが高かった.
(2) 実習前 (朝) のストレスは, 増加したり, 減少したり, 持続したりするが, その変化は一直線ではなく, さまざまに変化していることがわかった.
(3) ストレスがある, あるいは高いと感ずるのは,(1) 普段と違う身体感覚,(2) 普段と違う情動反応,(3) 普段と違う行動反応などを知覚するからであることがわかった.
(4) ストレスの原因・理由は,(1) 新しい実習経験, 母性特有であるから,(2) 記録物に関するもの,(3) 個人的な問題 (4) 臨床スタッフとの関係からのもの,(5) 対象 (褥婦・新生児) との関係からのもの,(6) 教員との関係からのもの, の順であった.
(5) ストレス緩和のために努力, 試みをした学生の割合は, 実習前半に比べて後半では徐々に少なくなっていく傾向があった. その内容は, 情動志向的対処と問題解決的対処であったが, 一時回避, 依存, 他者から援助を受けるなどで気持ちを落ちつかせ, 情動志向的対処を行った後に問題解決志向的に対処するという情動志向的かつ問題解決的対処があり, 学習の場での学生の対処の特徴だと思われる内容であった.
(6) ストレスが実習に影響したと記入した学生は, 実習前半に比べて後半では徐々に減少していた. その内容は, プラス影響, プラス・マイナス影響, マイナス影響に分類された.
(7) ストレス緩和の努力と実習への影響は高い相関 (0.725) があり, ストレス緩和のために努力をした頻度の高い学生ほど, ストレスが実習に影響したと記入した頻度が高かった.

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