植物研究雑誌
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第100 巻記念論文
Camptandra kampucheaensis(ショウガ科):約120年ぶりのCamptandra属の新種および同属のインドシナからの初記録
田中 伸幸 大井-東馬 哲雄Hun S.Ith S.Peou Y.Sam Y.Y.船越 英伸
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キーワード: Bokor, Cambodia, ITS, new species, phylogeny
ジャーナル オープンアクセス

2025 年 100 巻 1 号 p. 31-39

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抄録

カンボジア南部のボコー国立公園で,岩上に自生する極めて小型のショウガ科植物を採集した.形態学的研究および核遺伝子のITS領域を用いた分子系統解析から,Camptandra 属に属する未記載種であることが判明したため,Camptandra kampucheaensis Nob.Tanaka & Funak.として記載した.本種は属内で最も小型で,偽茎に頂生する花序,広卵形で心形の葉身と桃色の花冠裂片,ほぼ円形で基部に黄色の斑紋がある薄桃色の唇弁をもち,既知のいずれの種とも明瞭に区別できる.本種を含めた同属に属する種の検索表を与えた.Camptandra 属は,これまでマレー半島およびボルネオ島(サラワク州)に3種のみが知られていた.本種は4種目の新種であるが,本属で新種が見つかったのはおおよそ120年ぶりである.また,本種が同属のインドシナからの初記録でもある.

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