1997 年 72 巻 2 号 p. 67-71
ハナサルオガセ(Usnea orientalis)は試験管内での地衣体の再分化が容易な種である.地衣体由来の菌に対する培地に含まれる糖アルコールは,成長だけでなく,菌組織表面における突起上の構造物の形成を促進するものと認められている.菌の二次代謝産物の産生における糖アルコールの効果を調べたところ,天然には検出されない2種のジベンゾフランが検出された.その一つは 3,7-dihydroxy-1, 9-dimethyldibenzofuran-2-carboxylic acid と認められ,ヤマヒコノリ(Evernia esorediosa)の培養菌から報告されているhypostrepsilic acid と同一のものであった.しかし,他の成分は新規物質で 3, 7-dihydroxy-9-hydroxymethyl-1-methyldibenzofuran-2-carboxylic acid (isostrepsilic acid)と構造決定された.