タデ属Polygonum L.を一つの属として扱う見解と外部形態上の多様性に基づいていくつかのより小さい属に細分する見解とがある. 近年の研究 (Haraldson 1978, Ronse Decraene and Akerod 1988) によって, 広義のタデ属は異なる2または3の連に属する植物の寄せ集めであることが明らかとなり, 1つの属にまとめられるべきではないことが主張されている. 本論文では今まで東アジア産植物に適用されてきた様々な体系について比較するとともに, 東アジア産タデ類の学名を扱う上において特に問題となるPersicaria 属とFallopia 属の範囲について検討し, 近年の研究結果に基づき論議した. その結論に基づきこの属を分割する立場に立った上で, 東アジア産のいくつかの種について学名の組み替えを行った.
日本産の種については, ハチジョウイタドリFallopia japonica var. hachidyoensis(Honda) Yonekura & H. Ohashi, ケイタドリF. japonica var. uzenensis(Honda) Yonekura & H. Ohashi, エゾイタドリFallopia sachalinensis var. intermedia (Tatewaki) Yonekura & H. Ohashi, ホソバハナタデPersicaria posumbu var. stenophylla (Makino) Yonekura & H. Ohashi の2変種について新組合せを発表した