植物研究雑誌
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マメ科イワオウギ属と近縁属における節と葉の解剖学的研究
崔秉煕根本智行大橋広好
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1999 年 74 巻 4 号 p. 236-250

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抄録

イワオウギ属と近縁のCorethrodendron 属,Stracheya 属およびTaverniera 属では,属の範囲の設定に見解の相違がある.これらの分類群では,托葉の形態,小葉数および小葉表面の形状に変異がみられることから,節から葉柄中部までの維管束走行および葉の解剖学的特徴と表皮形態について,属間およびイワオウギ属の属内分類群間で比較し,各分類群間の類縁関係を検討した.

節部の葉隙には三隙型と多隙型の2型がみられた.節部の中心柱より分岐した中央と側方の葉跡は,葉柄の基部あるいは中央付近で離生するものから融合あるいは合着するものまで変異がみられた.さらに,葉柄中央付近の維管束走行には維管束の配置や本数および中央維管束や向軸側維管束の有無によって6タイプを認めた.イワオウギ属には托葉が葉柄基部に合着するものと離生するものがあるが,この形質と関連する維管束走行パターンはみられなかった.また,小葉数の変異と関連する維管束走行パターンもみられなかった.

また,葉の解剖学的特徴および表皮形態の比較の結果,維管束鞘の有無とクチクラ層の発達の程度に分類群間で変異がみられた.維管束鞘はイワオウギ属 Gamotion 亜属 Gamotion 節にのみみられた.

本研究の結果,イワオウギ 属 Gamotion 亜属はStracheya 属と節および葉の解剖学的特徴で類似すること,また,イワオウギ属 Heteroloma 亜属はCorethrodendron属,Taverniera 属と節解剖,葉跡および葉の表皮の特徴で類似することが明かとなり,これらの分類群間の関係は花粉形態の結果(Choi and Ohashi 1996)と一致した.

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© 1999 植物研究雑誌編集委員会
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