植物研究雑誌
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アフリカ南部からフトイ属(カヤツリグサ科)の1新種
早坂英介
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2003 年 78 巻 2 号 p. 65-70

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抄録

アフリカ南部 (モザンビーク, ジンバブエ, 南アフリカ) からフトイ属の 1 新種 Schoenoplectus patentiglumis Hayasaka を記載した. 本種は総苞片に横隔壁があり, 小堅果が鋭三稜形で平滑であることで Schoenoplectus articulatus (L.) Palla に似るが, 小穂の鱗片は狭卵形から広卵形で果実期に開出し, 表面全体が藁色で赤みを帯びず, 葯は短く長さ0.71 mm, 小穂は少なく 1-12個, 稈は細く幅 1-3 (-4) mm であるので区別できる. タイプはナタール大学ハーバリウム (NU, 南アフリカ) にある. 本種は稈の基部の葉鞘の腋に 1 個の雌性花を生じ, 稈の基部より上に 1 個の節と茎葉をもつことから, Schoenoplectus sect. Supini (Cherm.) J.Raynal ホソガタホタルイ節に含めた. ホソガタホタルイ節にはアフリカ, マダガスカルを中心に24種がある. この節の中で本種を含む 6 種 Schoenoplectus articulatus, S. patentiglumis, S. praelongatus (Poir.) J.Raynal, S. roylei (Nees) Ovczinn. & Czukav., S. senegalensis (Steud.) Palla, S. vohemarensis (Cherm.) J.Raynal は総苞片に横隔壁があることが共通の特徴である. これらの種は互いによく似ており, しばしば誤同定されるので, 検索表を示して区別点を明らかにした

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© 2003 植物研究雑誌編集委員会
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