植物研究雑誌
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Thunberg のFlora Japonica での学名を基礎に発表されたSiebold およびSiebold & Zuccarini の学名の検討
秋山 忍大場秀章
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2016 年 91 巻 5 号 p. 255-262

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抄録

ムラサキの学名として1830 年にシーボルトにより発表されたLithospermum murasaki がある.これは発表の際にL. arvense L. が引用されているが,「暗にその学名のタイプを除外」したと認められると合法名と認められる.現在使われているL. erythrorhizon Siebold & Zucc. も発表の際にL.arvense L. が引用されているが,ここではタイプが明示的に除外されているため,これまで問題とはならなかった.しかし,L. murasaki も引用されているため,L. murasaki が合法名と認められるとL. erythrorhizon は不要名となる.このように,今日の命名規約からすると,Thunberg がFloraJaponica (1784) で用いた学名を基礎に提唱された新名が,合法名か,それとも非合法名であるかは,タイプが「暗に」除外されていると認められるか否か,という判断によることになる.タブ,ゲンノショウコ,マユミ,ウマノミツバ,ミゾソバ,ユキヤナギに与えられた学名について,その合法性について著者らの見解を述べた.

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© 2016 植物研究雑誌編集委員会
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