2019 年 69 巻 2 号 p. 143-147
症例は85歳女性.肺炎および心不全で当院救急部にて入院加療を行っていた.リハビリ目的に近医転院となったが,翌日に腹痛の増強あり当院へ再転院となった.両側閉鎖孔ヘルニア嵌頓の診断で,エコーガイド下に嵌頓の解除を行い,10日後に待機的に腹腔鏡下ヘルニア修復術を施行した.術後経過は良好で術後7日目に近医へ転院した.閉鎖孔ヘルニアは高齢で全身状態に問題を抱えている症例も多く,周術期合併症のリスクの高い疾患である.エコーガイド下整復による嵌頓解除で緊急手術を回避し,腹腔鏡下に行うことで確実な診断と治療を行うことが出来た一例を経験したので報告する.