植物研究雑誌
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Van Rheede のHortus Malabaricus (1678-1693 年)中唯一不明のまま残されたRumphiaの正体
D. J. Mabberley
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2016 年 91 巻 suppl 号 p. 326-329

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抄録

Rumphia は,Linnaeus が『植物種誌』(1753 年)の補遺(1190–1199 ページ)部分で,Van Rheede のHortus Malabaricus 4 巻,図11 に載るTsjem-tani にもとづいて発表した属名である.Rumphia の正体を巡っては種々解釈されてきたものの,どれも大方の支持は得られず,植物学史上も重要な上記著作中,唯一正体不明のまま今日にいたった植物であった.今回,その正体は,旧熱帯の重要な木本属であるカナリウム属(カンラン科)のCanarium strictum Roxb. であるとする新見解を述べた.なお,この見解が支持を得れば,Canarium Rumphiaの後続異名となるため,属名Canarium Rumphia

対して保存名とするための提案が残される.実用性を度外視し,時間上の優先順位のみで,Canarium の現在認められる約77 種をRumphia のもとに移して新組合せを作ることは受け入れがたい.

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