イネ科チゴザサ亜科に属するオオチゴザサIsachne subglobosa Hatus. & T.Koyama は,石垣島,西表島,与那国島など琉球列島に生育する湿生の多年草で,チゴザサI. globosa (Thunb.) Kuntzeに近縁な日本固有の独立種とする見解と,インドからオーストラリアにかけての熱 帯域に広く分布するメンテンチゴザサI. pulchella Roth (= I. dispar Trin. ) のシノニムとする考えがあり,分類学 的に検討が必要な状況であった.そこで,本種の識別形質について再検討を行ったところ,本種はメンテンチゴザサとは関係がない反面,チゴザサとは明確に区別できず,また熱帯アジアから記録されているチゴザサの変種 var. effusa (Trimen ex Hook.f.) Senaratna にも似た点が あるものの,この変種を含めてチゴザサから区別しないことが妥当であると結論した.