2023 年 98 巻 4 号 p. 192-197
底生羽状珪藻タマスジケイソウ属(オビフネケイソウ科)のLuticola tropica (Hustedt) Levkov, Metzeltin and A. Pavlovの生細胞と被殻微細構造を光学および電子顕微鏡を用いて観察し,新たに以下の形態学的特徴を明らかにした.胞紋の殻内側開孔部は規則的散在型配列の穿孔をもつ薄皮によって閉塞される.半殻帯は最大4枚の帯片から構成され,いずれの帯片も片端開放型で,半殻帯の両端において開放端と閉鎖端が交互に重なる. 第1帯片の接殻帯片は表出部に2列の胞紋列をもち,内接部縁辺には小円鋸歯をもつ.第2帯片から第4帯片も表出部に2列の胞紋列をもち,各帯片の開放端の反対側にある小舌は,上に重なる帯片の開放端を裏打ちする.