植物研究雑誌
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鹿児島県産スゲ属(カヤツリグサ科)の2新種,サツマセンダイスゲおよびカノヤスゲ
矢野 興一 大西 亘勝山 輝男星野 卓二
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2024 年 99 巻 1 号 p. 16-24

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抄録

鹿児島県からカヤツリグサ科スゲ属ヌカスゲ節の2新種,サツマセンダイスゲ(新称)Carex satsumasendaica Okih.Yano, Katsuy. & W.Ohnishi およびカノヤスゲC. shimizui Okih.Yano, Katsuy., W.Ohnishi & T.Hoshinoを記載した.

サツマセンダイスゲは菱形でくびれがある痩果を持つ点で,タシロスゲC. sociataやツクシスゲC. uberに似るが,タシロスゲとは基部の鞘が淡い褐色で,花穂は1節に1つつき,雌花穂は細い円柱形でやや疎花である点が異なり,ツクシスゲとは苞葉がトゲ状,花穂は離れてつき,雌花穂は細い円柱形,雌花の鱗片に短い芒がある点で異なる.染色体数2n = 62.

カノヤスゲは,未記載種として和名のみが知られていたが,頂部の雄花穂が濃茶色,果胞は有毛,痩果は楕円形から卵形で頂部に環状付属体のある点で,広義のヒメカンスゲ C. conica s.l(.ヒメカンスゲ var. conica,ウスイロヒメカンスゲ var. pallescens,トカラカンスゲvar. scabrocaudataを含む)やオオシマカンスゲC. oshimensisに似るが,広義のヒメカンスゲとは鱗片に長い芒があり,果胞の嘴が長い点で異なり,オオシマカンスゲとは果胞の嘴が長く,花穂が細い点で異なる.染色体数 2n = 38.

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