抄録
人生の最終段階における救急搬送について,DNAR (do not attempt resuscitation) に関連する多くのジレンマが存在していた。救命を前提としてきた日本の救急の在り方を見直し,人生の最終段階に何を望み,どこで死を迎えたいのかの意思表示が必要で,社会もそれを求める時代が来ている。ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の普及,デスエデュケーションなど,多死社会における死生観の醸成が必要である。普段から自分の死を深く思慮しなければ,充実したQOD (quality of death)に向けたプランが困難となる。本人・家族・関係者間で「人生の最終段階」について認識を共有する必要がある。