本稿は日本で放送されている子ども向けに制作されたテレビアニメの「変身」の表象に着目する。現代の子ども向けテレビアニメ作品の中心となっているトレーディング・カードゲームを題材にした作品の中から、先駆的な作品である『カードキャプターさくら』と『遊☆戯☆王』の変身描写を比較分析する。子ども向けテレビアニメの先行研究では、「変身」を大人の社会に参入する手段としてみなしてきたが、両作品ともに「変身」は主人公のアイデンティティの不安定さを表現するものとして機能しており、その根底には作品で描かれる価値観において「大人」と「子ども」の境界線が曖昧となっていることが明らかとなった。