2025 年 25 巻 1 号 p. 41-51
本稿は史上初の「女性向け恋愛シミュレーションゲーム」である「アンジェリーク」のCDシリーズについて論じる。「アンジェリーク」のCDシリーズは、それまでのCDやゲームなどの媒体で使用された手法を援用しつつ、女性向けCDという領域でさらに発展させた。それらのCDでは「聴き手をゲームの主人公であるアンジェリークとしたうえで声をかけてくれる手法」と、「聴き手が自分自身として声をかけられる手法」の両方が使用された。前者は聴覚のみでシチュエーションありの語りかけを実現させ、後者はアバターなしの聴取経験を可能にした。これらの実践によって、「アンジェリーク」のCDシリーズは、後の「女性向けシチュエーションCD」というジャンルの確立へと繋がる、重要な貢献を果たしたと言える。本考察は、アニメの周辺領域である、男性アニメ声優が演じる女性向けの聴覚的コンテンツの歴史を理解するための手がかりになるだろう。