抄録
マハラシュトラ州の製糖協同組合は優良農協として知られているが、1990年代以降の一連の自由化政策の影響を受け、経営の悪化に苦しむケースは少なくない。これに対応すべく、支所(「地域営農センター」)を置き、組合員のニーズに応えることで、組合員の定着化と経営の安定化に成功した事例がみられた。この事例と、そのような対策を講じなかった事例を比較分析することで、前者の戦略の有効性を立証しようとした。
その結果、製糖協同組合は支所を置くことによって、組合員に対して、「生産性の向上」、「取引費用軽減効果」、「労働者の管理と配置における効果」の3つの効果をもたらしており、それが組合員定着の主要因となっていることが明らかになった。また、この分析を通じて、インド農村の原料生産農民にとって、技術指導、金融支援、生産コスト削減のための支援が重要であり、そのためのシステムの構築が求められていることも示された。