南アジア研究
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論文
M・K・ガーンディー政治的ahimsaの起源
━"Hind Swarajya"(1909)からahimsavrat(1915)まで━
間 永次郎
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2011 年 2011 巻 23 号 p. 7-30

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抄録
本稿では、M・K・ガーンディー(1869-1948)の南アフリカ滞在期(1893-1914)から、1915年にインドで最初のアーシュラムが設立されるまでの時代において、ガーンディーのahimsa概念に対する認識が、いかに変遷していったのかを論究した。従来の研究では、南アフリカ滞在期のサッティヤーグラハ(1906-14)は、ヒンドゥー教のahimsa概念によって思想的に基礎付けられていたと考えられてきた。それに対し本稿では、サッティヤーグラハとahimsa概念が初めて結び付けられて語られるのが、1915年にインドへ帰国して以降の時代であったことを明らかにした。ガーンディーはインド帰国後、西洋を模倣した「目も眩むばかりの豪華絢爛」で、「飾り立てられた」母国の姿に直面し、「独自の東洋的様式で前進していかなければならない」必要性を看取していった。このような中、彼は俄かに、サッティヤーグラハの「土台」を「ヒンドゥーの宗教」の概念枠組みを用いて語るようになり、ahimsa概念を政治改革の礎石として再定位していった。
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© 2011 日本南アジア学会
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