南アジア研究
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ヒンデヤー語の〈V-ne-vala hona〉の三用法-属性叙述から事象叙述へ客観的叙述から主観的叙述へ-
今村 泰也
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2008 年 2008 巻 20 号 p. 7-28

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抄録
本稿ではヒンディー語の迂言的な未来時表現形式とされる〈V-ne-vala hona〉の意味機能を考察した。先行研究の多くが「〈V-ne-vala hona〉は近未来を表す」と記述しているが、遠い未来であっても実現確実な事態に使われることが用例から明らかになった。そして、 (1) 〈V-ne-vala hona〉は未来形との言い換えができない場合がある、 (2) コピュラ動詞honaは過去形をとることもあり、 (通例) 事態の非実現を表すことから、本稿ではこれが未来時を指示する表現形式ではなく、決定済みの予定として基準時の状態を述べる表現形式であることを主張した。
〈V-ne-vala hona〉には上記の用法 (予定用法) 以外にも事態の実現直前の切迫した状況を表したり (切迫用法) 、未来の事態に関する話し手の推測を表す用法 (推量用法) がある。本稿では各用法の意味的・統語的特徴を明らかにし、推量用法をモダリティとして提示した。最後に〈V=ne-vala hona〉の文法化について考察を加えた。
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