近年,サルコペニアとフレイルは,その高い有病率と有害な転帰との関連性から,循環器領域における関心が高まっている。サルコペニアとフレイルの定義は統一されていないため有病率は研究間で大きく異なるが,さまざまな循環器疾患と病期において一貫して予後不良な結果となっている。2021年に改訂された『心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン』では,心臓リハビリテーションの目的として「フレイル予防」が新たに加わり,病態の解明や治療法の探究が今後の課題となっている。運動療法と栄養療法は,サルコペニアとフレイルの発症と進行の予防に有用であり,早期発見・早期介入が重要となる。本稿においては,循環器疾患,とくに心不全患者におけるサルコペニアとフレイルについて概説する。