日本サルコペニア・フレイル学会誌
Online ISSN : 2759-8829
Print ISSN : 2433-1805
特集 多職種による多面的なサルコペニア・フレイル対策
摂食嚥下機能とサルコペニア・フレイル対策
森 隆志
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2023 年 7 巻 1 号 p. 39-46

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抄録

摂食嚥下障害は低栄養のリスク因子であり,低栄養が関連するサルコペニアは摂食嚥下障害の原因となる。嚥下関連筋の筋肉量と筋力は加齢性に減弱し,全身および嚥下関連筋群のサルコペニアに起因する摂食嚥下障害はサルコペニアの摂食嚥下障害と呼ばれる。サルコペニアの摂食嚥下障害の診断フローチャートは,同障害に対する検証された診断方法である。急性期の摂食嚥下リハビリテーション患者のうちサルコペニアの摂食嚥下障害と診断された患者は約32%にのぼる。その対応は,サルコペニアの原因である加齢,不活動,低栄養,侵襲に応じたものになる。回復期病棟で30kcal/day/Ideal Body Weight(kg)以上の栄養の提供が有用とされ,運動療法はレジスタンストレーニングを含む嚥下訓練の方法がより機能回復を促進する。サルコペニア・フレイルは低栄養と密接に関連するため,栄養提供方法には摂食嚥下障害を考慮した工夫が必要である。

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