2024 年 8 巻 1 号 p. 10-14
低栄養分類において,悪液質は「炎症を伴う慢性疾患関連性の低栄養」と位置づけられている。ただし,「がん悪液質」は,がん患者の栄養不良全体を包括する概念でもあり,非がん疾患を背景とした悪液質とは様相を異にするところがある。病態理解は中枢神経系と骨格筋レベルのシグナル伝達を中心に進んでおり,体重減少,低 body mass index,骨格筋量減少,筋力低下,食欲不振,炎症反応などを要因とする診断基準が提唱されている。がん悪液質は前悪液質期,悪液質期,不可逆的悪液質期という段階が栄養ケアの方針に基づいて提唱されており,全がん患者に対し適切な悪液質対策が行われるべきである。