日本サルコペニア・フレイル学会誌
Online ISSN : 2759-8829
Print ISSN : 2433-1805
特集 悪液質研究と臨床の最新動向
心不全と悪液質
小西 正紹
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2024 年 8 巻 1 号 p. 15-21

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抄録

心不全患者には高齢者が多く,サルコペニア,フレイルを合併している患者を数多く経験するが,加齢以外に心不全という病態の影響,すなわち悪液質という観点を忘れてはならない。悪液質の病態の中心は局所性・全身性の炎症と考えられ,今回アジア人を対象に新たに提唱されたAsian Working Group for Cachexia (AWGC) の診断基準にもCRP値の上昇が含まれる。心不全では腸管浮腫や血流低下から腸内細菌の毒素が血中に移行し炎症の原因となり,骨格筋量,脂肪量の減少に関与する。骨格筋量の減少はMuscle hypothesisといわれ交感神経活動の亢進,末梢血管収縮を通じてさらに心負荷を増大させる負の連関を引き起こす。心不全の原因となる生活習慣病では減量を勧める場合も多いが,「肥満パラドックス」といわれ心不全をすでに有する患者では BMIが高いほど予後は良好である。心臓悪液質の治療の基本はアンジオテンシン変換酵素阻害薬やβ遮断薬を代表とした心不全治療である。簡略化されたAWGCの基準が,今後の研究の発展の一助となることが期待される。

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