2024 年 8 巻 1 号 p. 40-49
慢性呼吸器疾患における悪液質“pulmonary cachexia”は,主に慢性閉塞性肺疾患(COPD)を対象として検討されてきた。COPD悪液質の病因として,呼吸機能の低下などの病態生理,喫煙,身体活動性,食事摂取などの生活習慣,全身併存症の合併,経過中の増悪,社会的要因など多様な要因が想定されている。基本的にはこれらの病因に対応した治療アプローチが必要となる。栄養補給療法と運動療法が悪液質対策の主軸を担ってきたが,それぞれの単独治療の有効性は限定的であり,両者のコンビネーションセラピーの確立が重要である。COPDでは横断的評価による低栄養と悪液質とを混同して論じてきた側面があった。2023年に発表された診断基準を用いることで,COPD以外の非がん呼吸器疾患も含めて早期かつ適切に悪液質を診断し治療することが可能となり,今後の研究の進展が期待される。