日本サルコペニア・フレイル学会誌
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Print ISSN : 2433-1805
特集 心不全におけるサルコペニア・カヘキシアの複合的アプローチ
心不全におけるサルコペニア・カヘキシアの疫学・病態生理
赤坂 憲
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2025 年 9 巻 1 号 p. 4-9

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抄録

わが国では心不全症例が,特に高齢者において増加している。高齢者心不全では,概ね20%にサルコペニアが,およそ15%にカヘキシアがそれぞれ合併しているという成績があり,またサルコペニアはカヘキシアに先行して起こることも報告されている。心不全に合併するサルコペニア・カヘキシアは,栄養素の吸収障害や異化亢進による低栄養と身体不活動による骨格筋量低下から体重減少を呈するが,心不全では体重により体液量を推定して診療することがあるため,体組成など体重以外の指標を用いることも考慮される。サルコペニア・カヘキシアに対しては,積極的な栄養補充が推奨されており,腎機能に注意しつつ,十分なたんぱく質摂取とミネラルや微量元素の補充を行う。運動療法はサルコペニアを伴う心不全に対して推奨されており,複合的な運動療法が良いとされている。カヘキシアに対する運動療法については,今後の研究成果が期待される。

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© 2025 一般社団法人 日本サルコペニア・フレイル学会

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