1999 年 8 巻 3 号 p. 25-39
近年、企業内の一部のプロセスを企業外から調達することにより、世の中の最適なプロセスを集積できる企業形態、バーチャルエンタープライズの実現にむけて各種の努力が重ねられている。しかし、「一部プロセスを社外に委託して本当に大丈夫か」という危惧に対する合理的な判断基準が整備されることが、真の意味でのこの企業形態の普遍化に必要であろう。
本論文は、この問題に対する一つの解決策を提案する。まず、企業における各プロセスは、入力(情報、物質)に作業者(または組織)の能力が働きかけ、出力(情報、物質)を生成するとモデル化する。与えられた入力に対し、期待通りの出力を得るためには、作業者の能力が、そのプロセスに要求される能力を上回ることが必要である。この能力が確率的に分布するものとして、作業者能力が要求能力に達しない確率をリスクと定義することにより、リスク評価を行う方式を提案する。次にバーチャルエンタープライズ設立時および運用時のリスクについて考察する。またこの方式が適用できるための情報基盤の提言を行う。