日本外傷学会雑誌
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臨床検討
骨盤骨折に合併する上殿・下殿仮性動脈瘤の骨折内固定中の破裂予防のための経動脈的塞栓術の試み
一柳 裕司佐藤 秀峰大場 次郎出端 祥成澤野 宏隆大津谷 耕一林 靖之甲斐 達朗
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キーワード: 骨盤輪, 骨接合, 大量出血
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2013 年 27 巻 1 号 p. 27-32

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抄録

 骨盤骨折の内固定術中に上殿または下殿仮性動脈瘤破裂による大量出血を生じ, 手術を中断, 緊急で経動脈的塞栓術 (TAE) を施行した症例報告がある. そこで当センターでは, 内固定術前に内腸骨動脈造影を行い, 動脈瘤があればTAEを施行した後, 手術に臨んでいる.

 2007年4月以降, 骨盤骨折の内固定で骨盤輪周囲を操作する17症例を対象とし, 術前に内腸骨動脈造影を行い, 上殿または下殿動脈瘤を認めた3例にTAEを施行した. 内固定術中, 急な大量出血を生じることなく手術を終了した.

 骨盤骨折の内固定に際し骨盤輪周囲を操作する場合は, 術前に血管造影を施行し, 動脈瘤があればTAEを施行しておくと, より安全に手術が遂行できる.

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© 2013 一般社団法人 日本外傷学会
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