日本外傷学会雑誌
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臨床検討
初期治療として創外固定を行った骨盤輪, 下肢骨折において発生した深部静脈血栓症の検討
大森 貴夫村田 厚夫田中 公章斎坂 雄一石原 潤子原 文祐徳丸 哲平野島 剛杉本 和彦金丸 明博小松原 将
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2013 年 27 巻 3 号 p. 302-306

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抄録

 多発外傷を伴った下肢骨折 (開放骨折) や不安定型骨盤輪骨折は, 初期治療として創外固定を行うことが多い. しかし内固定までの期間は全身状態の問題や創外固定を行っているため, 深部静脈血栓症の予防が困難である. 今回, 創外固定を行った骨盤輪, 下肢骨折において内固定術前に発生した深部静脈血栓症について検討した. 2009年1月から3年間で, 内固定までの期間に深部静脈血栓症の評価を行った44例を対象とした. 年齢は平均52.0±17.8歳, 性別は男性31例, 女性13例, ISSは平均24.2±16.5であった. その内, 深部静脈血栓症は5例 (11.4%) に認めた. 骨盤輪骨折3例, 脛骨開放骨折1例, 下肢多発開放骨折1例であった. その内, 術後塞栓症を1例発症した. これらの症例は高齢で, 外傷の重症度が高い傾向にあった. 重症度が高いほど予防は困難となるため, 術前に深部静脈血栓症の診断を行い, 肺塞栓症の予防処置を行うことが重要であると考えた.

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© 2013 一般社団法人 日本外傷学会
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