日本外傷学会雑誌
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臨床検討
Negative Pressure Wound Therapy (NPWT) を併用した分層植皮術の治療経験
王 耀東黒住 健人井口 浩一新藤 正輝
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2013 年 27 巻 3 号 p. 297-301

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抄録

 2010年7月~2011年10月に, 比較的広範囲の皮膚欠損に対してNPWT併用の分層植皮術を施行した5例に関し, 治療成績の検討を行った. 全例男性で, 平均年齢は46.8歳 (20〜78歳), 皮膚欠損創の大きさは平均140cm2 (75〜200cm2) であった. 全例にKCI社製V.A.C.®を用い, 術後3〜5日まで持続陰圧125mmHgとした. 術後2週時点での生着率を評価した. 軟部組織損傷が高度であった2例の生着率は約90%であったが, その他の3例は生着率100%であった. 簡便さ, 滲出液の管理の容易さから, 患者側だけでなく医療者側のストレスも非常に少ないことが印象的であった. また, 移植片の初期生着時期を考慮し, 初回包交日が, 術後3日目の早期となる場合には移植片とフォーム剤の間に非固着性ガーゼを使用した方が安全であり, 術後4〜5日目となる場合には非固着性ガーゼの使用は原則必要ないと考える.

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© 2013 一般社団法人 日本外傷学会
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