日本外傷学会雑誌
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原著
前外側大腿皮弁による手部軟部組織欠損の再建
池口 良輔竹内 久貴渡邊 睦奥谷 祐希金村 卓京 英紀木村 豪太太田 悟司大西 英次郎岩城 公一川那辺 圭一安田 義
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2014 年 28 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

 手部の皮膚と皮下組織は薄く,その直下に腱と神経血管束,骨が存在するため,外傷により皮膚と皮下組織が欠損した場合,瘢痕を形成し容易に機能不全に陥る.機能的な手の再建を目指す場合,手部の軟部組織欠損は瘢痕を形成しないように良好な血流の薄い皮弁での再建が必要となる.穿通枝皮弁として知られている前外側大腿皮弁は主要血管や筋肉を犠牲にすることがない,thin flapにすることができるなどの利点がある.今回我々は外傷による手部軟部組織欠損に対し,前外側大腿皮弁を用いて再建した症例を4例経験し,全例生着した.前外側大腿皮弁は穿通枝の位置に解剖学的変異があるが,欠損部の大きさにあわせて皮弁を自由にデザインすることが可能で,かつ,手の部位による軟部組織の厚さの違いに対してthinningにより皮弁の厚さを調節することが可能で,手部軟部組織欠損に対して有用な皮弁であると考えられた.

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© 2014 一般社団法人 日本外傷学会
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