日本外傷学会雑誌
Online ISSN : 2188-0190
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臨床検討
骨盤骨折に対する経動脈的塞栓術
-合併症発生危険因子の検討-
鵜養 拓内山 善康小林 由香守田 誠司猪口 貞樹持田 讓治
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2014 年 28 巻 4 号 p. 305-310

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抄録
 骨盤骨折患者80例中,経動脈的塞栓術(TAE)治療を行った52例を対象としTAEにおける殿筋壊死と皮膚潰瘍発生の危険因子について検討した.受傷時平均年齢は51.8歳(13〜88歳)であった.TAEは片側内腸骨動脈7例,両側内腸骨動脈45例に施行し,骨折型は安定型19例,部分不安定型22例,完全不安定型11例であった.合併症は5例にみられ,殿筋壊死2例,殿部・陰部潰瘍3例であった.TAE施行例全体の合併症発生率5/52例(9.6%),片側内腸骨動脈塞栓例0/7例(0%),両側内腸骨動脈塞栓例5/45例(11.1%)であり,片側塞栓例では合併症発生はみられなかった.合併症発生例において造影CTを用いた軟部組織評価を行ったところ4/5例(80%)に,壊死例では2/2例(100%)に殿部の皮下組織への血腫がみられた.皮下組織への血腫がみられる症例において両側内腸骨動脈を塞栓する場合は合併症発生に関して留意する必要があると考えられた.
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© 2014 一般社団法人 日本外傷学会
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