日本外傷学会雑誌
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臨床検討
千葉県東葛飾南部地域における外傷救急事案事後検証システムの導入と,その分析による救急活動時間の短縮効果
水嶋 知也箕輪 良行有馬 孝博池田 勝紀角地 祐幸境田 康二
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2014 年 28 巻 4 号 p. 311-317

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抄録

 千葉県東葛飾南部地域(市川市,浦安市,鎌ケ谷市,習志野市,船橋市,八千代市)メディカルコントロール協議会では,外傷救急事案における病院前活動の質の向上を目的に外傷救急事案事後検証システムを導入し2011年度より運用を開始した.重症外傷事案を担当した救急隊が外傷事案事後検証票を作成し,各市消防内の担当者と地域における救急基幹病院の担当医師が検証する.
 外傷救急事後検証システムで得られた情報の集積と分析により,2011年度のA市消防救急隊の現場活動時間が他市消防の活動に比べ明確に長いことが判明した.その原因を究明し問題点の改善を指導したところ,2012年度の現場滞在時間が有意に短縮された.
 外傷救急事案事後検証システムは当該地域人口170万人圏における重症外傷事案の統計資料となり得るが,存分に活用するためには迅速かつ均一な検証,現場への還元手法,地域内外の医療機関との連携をさらに検討のうえ推進していく必要がある.

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© 2014 一般社団法人 日本外傷学会
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