抄録
眼窩内骨膜下血腫の原因は外傷性,充血性,特発性があり,外傷性の報告例が多い.また,症状は斜視や眼球突出,眼球運動障害やそれに伴う複視を認めることがある.今回我々は,絞頸で眼窩内骨膜下血腫をきたしたが,眼球位置異常や運動障害を伴わず保存的加療した症例を経験した.79歳の女性がベルトで頸部を絞められ受傷した.絞頸により意識障害をきたしたが,翌日には意識清明となった.頭部単純CTで左眼窩内骨膜下血腫を認めたが特に障害を認めず退院となった.頸部の圧迫でも眼窩内骨膜下血腫となる可能性がある.本疾患は症状が乏しければ保存的加療も可能である.