日本外傷学会雑誌
Online ISSN : 2188-0190
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30 巻 , 1 号
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原著
  • 湯本 哲也, 塚原 紘平, 飯田 淳義, 寺戸 通久, 佐藤 圭路, 鵜川 豊世武, 氏家 良人, 西村 哲郎, 定光 大海, 土谷 飛鳥, ...
    2016 年 30 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2016/01/20
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
     ショックを早期に認知するための皮膚所見の1つとして,外傷患者における冷汗の意義を多施設共同前向き観察研究にて検証した.出血性あるいは閉塞性ショックを離脱するためにinterventionを要した症例をショックと定義,冷汗は2人の観察医師が左右それぞれ4ヵ所を別々に評価し,少なくとも1ヵ所でも一致した場合を冷汗ありと定義した.来院時心肺停止,熱傷,転院搬送例を除外した外傷患者411例のうちショックは54例(13%),冷汗は36例(9%)に認めた.ショックで冷汗ありの症例は19例(35%)で,ショックに対する冷汗の感度,特異度,陽性・陰性的中率はそれぞれ35,95,53,91%であった.また,ショックで冷汗ありの症例はなしの症例と比較し,有意に頻脈で,Base excess(BE)が低く,乳酸値が高値であった.ショックに対する冷汗の特異度は高く,冷汗を認めれば介入が必要なショックと認識できる.また,早期認知のためには積極的に冷汗の所見をとりにいくことが重要である.
症例報告
  • 西野 智哉, 渡辺 泰江, 櫻井 馨士, 守田 誠司
    2016 年 30 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 2016/01/20
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
     眼窩内骨膜下血腫の原因は外傷性,充血性,特発性があり,外傷性の報告例が多い.また,症状は斜視や眼球突出,眼球運動障害やそれに伴う複視を認めることがある.今回我々は,絞頸で眼窩内骨膜下血腫をきたしたが,眼球位置異常や運動障害を伴わず保存的加療した症例を経験した.79歳の女性がベルトで頸部を絞められ受傷した.絞頸により意識障害をきたしたが,翌日には意識清明となった.頭部単純CTで左眼窩内骨膜下血腫を認めたが特に障害を認めず退院となった.頸部の圧迫でも眼窩内骨膜下血腫となる可能性がある.本疾患は症状が乏しければ保存的加療も可能である.
  • 佐藤 啓太, 早川 桂, 五木田 昌士, 勅使河原 勝伸, 田口 茂正, 清田 和也
    2016 年 30 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2016/01/20
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
     循環動態の安定した肝損傷に対して経カテーテル的動脈塞栓が広く行われているが,肝損傷の合併症の一つに胆汁腫がある.今回我々は,止血が完了した亜急性期に胆汁の拡大が原因での肝コンパートメント症候群を経験した.本症例では画像と臨床経過から診断し,穿刺ドレナージで軽快した.胆汁腫が原因での肝コンパートメント症候群は比較的稀な病態であるが,肝損傷診療では念頭に置く必要があり,診断の後には速やかに減圧を行うことが重要である.
  • 八木 雄史, 藤田 基, 水口 市子, 荻野 泰明, 大辻 真理, 古賀 靖卓, 小田 泰崇, 鶴田 良介
    2016 年 30 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 2016/01/20
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
     30歳,男性.工事現場で約2mの高さの斜面を足側から転落した際,立てかけていた鉄筋が右陰嚢より約50cm刺入した.CT上,鉄筋は腹壁内を通り,右鎖骨中線上,肋骨弓の高さで腹腔内に達していた.緊急開腹術を施行し,鉄筋先端から背側に離れた位置に約2cmの横隔膜損傷を認め,同部を縫合閉鎖した.その他の臓器損傷は認められなかった.横隔膜損傷部が鉄筋先端から離れた位置にあったのは,受傷時とその後の体位の変化で先端と臓器の位置関係が変わったためと考えられた.杙創症例では刺入経路の十分な評価を行うとともに,受傷時と受傷後の体位変化による刺入物移動の可能性を念頭に置く必要がある.
  • 上村 修二, 宮島 正博, 窪田 生美, 喜屋武 玲子, 平山 傑, 井上 弘行, 渡辺 敦, 成松 英智
    2016 年 30 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 2016/01/20
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
     症例は19歳女性,交通事故で頭部,顔面挫創,両肺挫傷,両側気胸,両側多発肋骨骨折,肝損傷と腸骨開放骨折を受傷.来院後,気道緊急のため気管挿管施行し人工呼吸管理とした.CTで左第9肋骨骨折端と下行大動脈の距離が12mmと近接しており経過観察としていたが,受傷後5日には4mmと近接したため,胸腔鏡下に肋骨骨折端摘除術を施行した.左下後部肋骨骨折による遅発性の下行大動脈損傷は稀ではあるが発生すると致命的である.本症例は予防的に肋骨骨折端を摘除することにより下行大動脈損傷を予防することができた.
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