2017 年 31 巻 3 号 p. 381-386
【背景】急性硬膜下血腫で保存的加療した症例のなかで亜急性期に血腫が増大する症例が存在する. 当院で経験した亜急性期に血腫が増大した急性硬膜下血腫症例の予測因子を検討したので報告する. 【方法】2003年〜2014年に当院脳神経外科で加療した急性硬膜下血腫で急性期に手術を行った症例および非積極的治療の症例を除外, 脳挫傷や急性硬膜外血腫を合併していない円蓋部急性硬膜下血腫261例を対象とした. 亜急性期に血腫が増大した症例と増大しなかった症例に分けて比較検討した. 【結果】亜急性期に血腫が増大した症例は43例, 血腫が増大しなかった症例は218例であった. 年齢, 糖尿病, Computed Tomographyでの血腫の厚さ・正中線の偏位が予測因子であった. 【結論】高齢者で血腫が厚いが亜急性期まで保存的加療可能であった症例が亜急性期に血種が増大すると考えられた.