2019 年 33 巻 3 号 p. 324-328
循環動態不安定な重症肝損傷に対する開腹止血術後の動脈塞栓術の有用性は知られている. 今回我々はパッキング後の血管造影について検証した. 2011年1月〜2017年3月までに当センターに直接搬送された重症肝損傷 (the American Association for the Surgery of Trauma Organ Injury Scale (AAST-OIS) grade IV 以上) に対してdamage control surgeryとしてperihepatic packingを行った症例は11症例であった. 全例が手術先行で来院から手術開始は47分 (中央値) であった. 血管造影の前にCT撮影が行われた症例が4例あった. CTの有無で血管造影検査開始までの時間や手技時間には有意差を認めなかったものの, CT撮影群では手技開始が40分程度遅延した. CTの有無に関わらず, すべての症例において塞栓術を要した.