日本外傷学会雑誌
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症例報告
内視鏡的逆行性膵管造影が同定し得なかった穿通性主膵管損傷の1例
小川 克大松村 和季東 孝暁清水 健次新田 英利増田 稔郎赤星 慎一松本 克孝生田 義明沖野 哲也高森 啓史
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2019 年 33 巻 4 号 p. 394-397

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抄録

 外傷性膵損傷では内視鏡的逆行性膵管造影 (ERP) にて主膵管損傷の確認を行うことが推奨されている. 今回, 穿通性外傷による主膵管損傷がERPにて見逃された症例を経験した. 症例は75歳女性. 腹部刺創にて当院搬送された. CTにて膵損傷を認めたがERPでは主膵管損傷は認めなかった. 術中所見では胃損傷と膵頭部損傷を認め胃壁修復と膵周囲ドレナージを施行した. 術後胆汁漏と膵液漏を認め, 内視鏡的逆行性胆管膵管造影 (ERCP) を再施行した. 再検では主膵管損傷と胆管損傷を認め膵管ステントを挿入後, 再手術を施行した. 膵周囲ドレナージ, 胆管離断と胆管空腸吻合術を施行し術後経過良好であった. 穿通性主膵管損傷ではERPで同定不可能な場合がある. また, 膵頭部の III b型膵損傷でも内視鏡的膵管ステント挿入により切除が回避できることがある.

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© 2019 一般社団法人 日本外傷学会
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